あなたの記念日エピソードコンテスト
審査結果発表
吉川屋貴賓室ペア宿泊券
『結婚式前日の飯坂にて』
二〇二一年の夏。コロナ禍という出口の見えないトンネルの中で、延期を余儀なくされた私たちの結婚式。
ようやく私の故郷である福島で式を挙げられる日がやってきました。
結婚式の前日。遠方から足を運んでくれる妻の両親や親族を最高のおもてなしで迎えたいと考え、私たちは飯坂温泉の老舗旅館を予約しました。
福島駅から車を走らせ、宿へと向かう一行。
宿に到着し、親族の皆さんがチェックインを済ませるのを見届けた後、私たちは失礼する予定でした。
私たちが玄関先で帰路につこうとしたその時でした。
「明日は、お二人の大切な門出の日なのですね」
温かな声に振り返ると、そこには旅館の女将さんが立っていました。
私たちが親族の方々と交わしていた「いよいよ明日だね」という会話を、そっと聞き留めてくださっていたのです。女将さんは、笑顔を私たちに向け、こう続けられました。
「明日は最高の一日。ぜひ、お二人も家に戻られる前に、うちのお風呂で身を清めていらしてください。今夜はゆっくり休んで、明日を最高なコンディションで迎えていただきたいですから」
本来、日帰り入浴の時間は過ぎていたかもしれません。それでも女将さんの真っ直ぐで温かなお心遣いが、準備で張り詰めていた私たちの心をふんわりと解きほぐしてくれました。「ありがとうございます……お言葉に甘えさせていただきます」
妻と顔を見合わせ、私たちは感謝の気持ちを胸に、吸い込まれるように大浴場へと向かいました。
湯気に包まれた広いお風呂。摺上川のせせらぎを聞きながら、福島の柔らかな湯に浸かっていると、これまでの苦労がすべてお湯に溶け出していくようでした。女将さんの粋な計らいのおかげで、私たちは「親族を送り届けに来た二人」から、同じ宿の「入浴客」へと変身しました。
男湯では、私が湯船に浸かっていると、先に入っていた義父が驚いた顔でこちらを見ました。「あれ、君はどうしてここに!?」と。私は笑いながら「女将さんのご厚意なんです」と答え、裸の付き合いで明日の抱負を語り合いました。
一方、女湯でも同じことが起きていたようです。娘の姿に、一瞬時が止まったような顔をされたそうです。「明日まで会えないと思っていたのに!」と、お母様は声を弾ませ、妻と二人で最後の一時を過ごしたと聞きました。
帰り際、もう一度玄関で女将さんに深々とお辞儀をしました。
「女将さん、本当にありがとうございました。おかげで家族との最高の思い出が、式の前日に一つ増えました」
女将さんは「明日、良いお式になりますように。いってらっしゃいませ」と、最後まで優しく見送ってくださいました。
翌日の結婚式、私たちは今までで一番晴れやかな顔でバージンロードを歩くことができました
あの日、旅館の湯船で感じた福島の温かさと、女将さんの優しい眼差しが、私たちの背中を力強く押してくれたのです。
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会長賞ペンネームこゆあた さん
『吉川屋とともに歩んだ
家族の記念日』 -
社長賞ペンネームおとくんまま さん
『家族の笑顔を取り戻した記念日』
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女将賞ペンネームもふりさん さん
『ゆかり』
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常務賞ペンネームたかし さん
『時を越えてつながる日』
- まよ さん
- 山口の寺娘 さん
- ちゃんこ鍋 さん
- たかいと さん
- しんちゃん さん
吉川屋185周年企画
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